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「この野菜、見たことない!」
直売所を歩いていると、そんな声を耳にする機会が増えていませんか?
カラフルなカリフラワー、紫色のニンジン、スティック状のズッキーニ、葉の先まで真っ赤なビーツ…。
数年前まではスーパーでは滅多に見かけなかった“珍しい野菜”が、いまや身近な直売所で手に入るようになっています。
その背景には、地域の農業と消費者の関係性の変化があります。
直売所は、スーパーのように規格や数量に縛られません。
そのため、生産者は自分の畑で「少しだけ珍しい品種を育てる」という柔軟なチャレンジができます。
こうした環境が、多品種・少量栽培を後押ししています。
結果として、直売所には“その農家さんだからこそ”の個性ある野菜が並ぶようになったのです。
近年、SNSやグルメサイトの普及により、「映える野菜」「珍しい食材」を求める消費者が増えています。
特に、レストランやカフェなどの飲食店では、見た目にインパクトがある野菜や珍しい品種が人気です。
このニーズに応えるかたちで、農家側も新しい品種へのチャレンジを積極的に行っています。
直売所は、その「出会いの場」として重要な役割を果たしています。
昔は、地域ごとに“決まった品種”を作るケースが多くありました。
しかし今では、ネット通販や種苗会社の品揃え拡大により、農家が珍しい品種のタネを手軽に入手できるようになりました。
さらに、栽培ノウハウもSNSやオンライン講座で共有され、新品種への参入障壁が下がっているのです。
「農家が珍しい野菜を育てやすい時代」が来ています。
珍しい野菜は、必ずしも大量生産には向きません。
傷みやすかったり、形が揃いにくかったりするため、大手流通には不向きなことも多いのです。
しかし直売所では、
といった強みがあります。
そのため、珍しい野菜でも安心して販売・購入できる仕組みが成り立っています。
昔は“見慣れた野菜”が安心されがちでしたが、
今は「知らない野菜を試すのが楽しい」という人が増えています。
これらによって、消費者が新しい食材を受け入れる土壌が整っているのです。
直売所が珍しい野菜でにぎわうようになったのは、
🌱 生産者のチャレンジ
👨🍳 消費者の好奇心
📦 流通と情報の変化
この3つが重なった結果です。
珍しい野菜は、単なる“話題性”ではなく、地域の農業の自由度と豊かさの象徴ともいえます。
次に直売所を訪れるとき、ちょっと見慣れない野菜を手にとってみるのも面白いかもしれません。
そこには、新しい味と、地域の物語が詰まっています。
直売所といえば、これまでは農家が自らの野菜や果物を持ち寄り、地域の消費者と直接つながる「販売の場」として機能してきました。
しかし、その役割は今、大きく変わろうとしています。
2025年春、JA横浜が新たにスタートさせた「ベジポケット」は、農家と障害者が共に運営する農福連携型の直売所モデル。
この取り組みは、販売のあり方そのものに新しい視点をもたらしています。
これまで直売所の多くは、農家自身が搬入・陳列・販売まで担うのが基本でした。
しかし、高齢化や人手不足により、直売所を支える労働力は全国的に課題となっています。
ベジポケットでは、障害のある方々が商品の補充・陳列・接客といった運営を担います。
農家は生産に集中でき、販売現場は“支え手”が増える。
こうして**「農家×福祉」の共働体制**が、直売所の持続可能性を高めています。
このモデルの本質は「障害者の就労支援」ではありません。
重要なのは、「役割を持って社会の一員として関わる」という点です。
接客や品出し、レジ打ちといった作業は、直売所にとって欠かせない実務です。
そこに障害のある方々が“主役”として入ることで、支援対象から現場の担い手へと立ち位置が変わります。
それは、福祉側にとっても「働く誇り」と「継続的な就労機会」の創出となり、農業側にとっても「現場を共に支える仲間」が増えることを意味します。
このようなモデルが成立する背景には、国や自治体の補助制度の存在もあります。
農林水産省の農福連携推進施策や、地方自治体による就労支援事業によって、施設改修費や人件費補助が得られるケースも増えています。
ベジポケットも、こうした支援を活用しながら地域の福祉施設や企業と連携し、「支援事業」ではなく「ビジネスモデル」としての直売所をつくっています。
もうひとつ大きな変化は、「販売=モノの受け渡し」から、「販売=地域の物語の共有」へと広がっていることです。
消費者が直売所で手に取るのは、ただの野菜ではありません。
・誰が作り
・誰が並べ
・どんな地域で育ったのか
そうした背景が可視化されることで、「買い物」が「共感」になるのです。
障害者と農家が共に立つ現場には、消費者が自然と会話に参加する温かさがあります。
直売所は全国に約2万カ所以上あるとされる日本の販売インフラ。
その一部が「ベジポケット」のような農福連携モデルに変われば、
🧑🌾 農業の担い手不足解消
🧑🦽 就労機会の拡大
🏘 地域コミュニティの再生
といった複数の課題を一度に動かすことができます。
これは、補助金を起点とした一時的な取り組みではなく、地域の経済構造を変える「新しい直売所のかたち」です。
「ベジポケット」が示したのは、直売所=“売る場所”ではなく、“つながる場所”にもなり得るという可能性です。
農業と福祉。生産と販売。地域と消費者。
これらが自然に混ざり合う場は、地域の未来を少しずつ変えていく力を持っています。
直売所の“カタチ”が変われば、地域の“暮らし”も変わる。
そんな新しい風が、いま各地に吹き始めています。
「今年はほうれん草が早いね」
「夏野菜が秋まで採れてる」
そんな声が、農家や市場で聞かれる機会が年々増えています。
地球温暖化をはじめとする気候変動は、私たちの生活だけでなく、**野菜の“旬”**にも静かに、しかし確実に影響を与え始めています。
旬とは、本来その野菜がもっとも自然な環境で育つ時期を指します。
例えば、
これは、長年の気候・気温・日照のバランスによって築かれたリズムです。
しかし近年、そのバランスが崩れ始めているのです。
気温が下がりきらない暖冬では、ほうれん草や春菊といった冬野菜の成長が早まり、
例年よりも早く出荷されるケースが増えています。
一見すると「早く出てくるのは良いこと」のように思えますが、
旬が前倒しになることで、市場全体のリズムが崩れるのです。
一方で、夏の高温傾向も影響しています。
本来であれば秋に終わるトマトやキュウリなどの果菜類が、
暖かさによって収穫時期が長引くケースが増えています。
生産者にとっては出荷期間が延びるメリットもある一方、
などの課題も抱えています。
近年の特徴は、平均気温の上昇だけではなく、
といった極端な気象の増加です。
これらは野菜の成長スケジュールを狂わせる大きな要因。
ある年は豊作、ある年は不作――そんな極端な変動が起こりやすくなり、旬そのものが「安定しない」時代に入っています。
こうした変化に対して、生産現場ではさまざまな工夫が始まっています。
旬をずらすのではなく、“旬を守るための技術と連携”が進化しているのです。
私たち消費者にも、できることがあります。
旬を意識することは、農業の負担を軽減し、地域の生産を支えることにもつながります。
“便利”の裏で失われていくものに、少し目を向けてみることが大切です。
気候変動は遠い未来の話ではありません。
それは、スーパーの野菜売り場の並び方にも現れています。
旬が前倒しになったり、ずれたり、短くなったりする――
それは、地球からの“静かなサイン”かもしれません。
季節と野菜のリズムを守るために、
生産者と消費者の双方が「旬の価値」をもう一度見つめ直すときが来ています。
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